私たちの暮らしに欠かせない家具。その歴史は、人類が定住を始めた古代にさかのぼります。
紀元前のエジプトでは、王族のために作られた椅子やベッドがすでに存在しており、装飾性の高いデザインが特徴でした。ギリシャやローマ時代になると、ソファの原型となる寝椅子や食事用のテーブルが登場し、暮らしの中心に家具が組み込まれていきます。
中世ヨーロッパでは、重厚な木製家具が主流となり、城や修道院で長く使える頑丈さが求められました。やがてルネサンス期には、美術や建築と同様に家具も「芸術」として進化し、彫刻や装飾が豊富に施されるようになります。
近代になると産業革命によって大量生産が可能となり、家具は一部の人だけのものではなく、多くの人々の生活に広がりました。そして現代では、北欧デザインやミニマルスタイルなど、機能性と美しさを両立した家具が人気を集めています。
家具の歴史は、暮らしの進化そのものを映し出す鏡ともいえるでしょう。

